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“キャッ、キャッ”とはしゃぐ声が、二人の耳に入った。
「ああ、いたいた。社長! 探したわよ。みんながね、お土産買いたいから、早く出たいんですって」
「そうか、お土産を買いたいのか。分かった、分かった。お嬢さん方のご希望だ。専務、そういうことだから、頼むぞ」
「頼むぞ、って、社長。まさか…」
「やっぱりだめか?」
「冗談はやめて下さいって。一緒に帰って下さいよ」
五平の言葉に、女子社員が噛みついた。
「どうしたんですか? まさか、もう一泊なんて、だめですよ。女将でしょ! 社長の目、なんだか嫌らしかった。京子ちゃんの予感が当たってる。はい! 一緒に出ましょ」
三人の腕が武蔵の腕にからんで、えいやっ! と、かけ声と共に引っ張り上げた。分かったよと腰を浮かせながら「五平! 俺の伴侶にって、言ってたじゃねえか」と、それでも未練がましく口にした。
「だめですな、社長がこっちに来そうだ。女将にしてやられそうだ。あっちの方が、一枚も二枚も上手のようだ。諦めてくださいな」
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