赤い紙袋

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 あれから5日後ーー  いつものように、駅に向かう義人に、一人の女子高生が近付いてきた。 「あのぉ……」  義人は、顔を向けると、「ああ、君は……」と笑顔を見せた。  あの時の女子高生、澤田美帆だった。 「おはようございます……この間は、ご迷惑をおかけしました……」 「あぁ……いいよ。あれからどう? なにもおかしなことはない?」と義人が問うと、美帆は笑顔で、「大丈夫です」と答えた。 「それはよかった。だけど、もうお小遣いが貰えるからといって、ああいったことに手を貸しちゃいけないよ。まあ、きみも相手がヤクザだと知らなかったっていうし……」 「はい……でも、あの紙袋を白いダウンジャケットを着た長髪の男に渡してほしいって言われた時、ちょっと嬉しかったんです」 「どうして?」 「私、刑事さんに渡せばいいものだと思ったんで……」 「僕に? じゃあ、僕のことを知ってたの?」  義人に聞かれると、美帆はコクンと頷き、恥ずかしそうに、カバンの中から小さな赤い紙袋を取り出した。  そして、それを両手で義人に差し出した。 「本当はこれを渡したかったんだけど、当日の朝に、いきなりあの暴力団の方に声をかけられて……」 「え……」 「これ……こっちを受け取って下さい」  美帆は、紙袋から赤と緑のチェック模様の包装紙に包まれた小箱を出した。  義人は、困惑気味にその箱に目を向ける。 「え……なに、お礼?」  美帆は、無言で首を横に振る。 「いや……ずっと今まで、3年間、駅ですれ違う刑事さんのことが、気になってて……」 「……え」  
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