22章 これがTV局

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・ 独り暮しの部屋で恋人が手料理作ってるってこんなにときめくものなのか── なんだか落ち込んでいながらも俺の胸が妙に色めく。 置いてあった買い物袋を見つめ、晶さんに目をやると、わけもなく気持ちが高ぶった。 「奥さん、今から何を作るんですか?」 なにげに頬を染めて後ろから晶さんの腰に手を回し抱き締める。 可笑しいな…さっきまで俺、苛ついてて怒ってた筈なのに…… そう思いながらも疼く想いが抑えられない。 新婚ゴッコがやめられず、俺は晶さんに抱き着いたまま料理する手元を眺めてうなじに口づけた。 逢ったら色々責めちゃうかもと思って我慢してたのに── こんな不意打ちでウチにいて料理する姿なんか見せられたら… もうどうでもよくなってくる。。。 晶さんに先手を打たれたかも知れない── ってことはこれって俺のご機嫌とりなんだろうか?…… もしかして、俺を怒らせちゃったから、晶さんなりに気を使ったんだろうか… 雑な扱いしか受けてこなかったぶん、俺の為に何かをしてくれることが異様に嬉しい。 だからついつい俺は調子に乗ってしまうわけで…。 「こんなことに誤魔化されないからね……」 「………」 なんて晶さんを責めるフリをしてみる。 晶さんは俺の言葉に少し緊張を走らせたようだった。
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