6.想いの先へ(1)

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 大泣きで酷く取り乱して逃げ去った様子を思い返して、すぐにハッとする。  やっぱりおかしい。  あんな状態でどこかに立ち寄ってるとはとうてい思えなかった。 「あ、お茶はいいです。柚葉探してきます。後で取りに寄りますんで、玄関(ここ)に荷物、置かせてもらってもいいですか?」  返答を待たずにすでに荷物を下ろしにかかっている彩香。 「え? それはもちろん構わないけど、彩香ちゃん傘持っ――――……てる? 雨降るらしいわよ、って言いたかったけどやっぱりもう居ないか」  荷物を置くやいなや一目散に玄関から駆け出していき、遠くの方ですでに点にしか見えなくなっている後ろ姿に、「毎度のことだわね……」と千草は穏やかに微笑んでいた。 
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