6.想いの先へ(1)

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「でも珍しいわね。今日は帰り、柚葉と一緒じゃなかったの?」  眉根を寄せ本気で考え込んでいる娘の親友の様子にはまったく気付かず、千草が嬉々としてスリッパを並べてくれている。  あの大喧嘩によるここ一週間の断絶状態は知らないらしい。 「え……あ、はい。ちょっと……あたしのほうが用事あったんで」  言いながら、何気に背後の暮れかけた空を見上げる。  柚葉のほうがそれこそ本当にどこかに用事があって寄り道してる――とかだろうか。  ……でもどこに? (っていうか、あの状態で?)
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