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◇ ◇ ◇
歩道橋の上を足早に行き交う人の数が増えた。
そんな天候を気にして家路を急ぐ人の流れには乗らずに、制服姿の女子高生がひとり、欄干に両肘をついて佇んでいる。
クセのない長い黒髪がわずかな風にサラリと揺れた。
(もうそろそろ降り出すのかもしれない……)
ぼんやりと考えて、柚葉は流れ方の速くなった仄暗い空を見上げる。
いつもならまだかなり明るさの残っている時間帯なのだが、さすがに迫りくる雨雲には勝てないらしい。
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