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「手、繋いでいい、か?」
「うん」
布団の中に入ればこうだった。
愛していないのに手を繋いで同じ布団に入れるものだろうか。
「これ、ここに、置いといて……いい、か」
彼の胸の上に導かれる。
うんと頷く。
「愛して、いる?」
「うん」
「愛するのはやめない?」
「やめない」
「……」
無言になった。
やがて視界は彼でいっぱいになった。目を閉じたところで重なる柔らかい花びらのような唇。
彼は彼女の上唇を優しく挟んで食んだ。
乾いた、音のない接触。
「……きっちゃんが、あたしの一番近くに来られる方法があるの、分かる?」
「……うん」
「きっちゃんのままでいいのよ。他の何にもなる必要なんかない」
「……ん」
「それ、しよう、か?」
「そうしよう、か」
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