風邪引き

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 泣き止んだ頃には、荷物が届いたことも忘れて、茫然と壁にもたれていた。 「きっちゃん、あったかいコーヒー飲もう」  彼女は改めてお湯を沸かした。自身もおかわりのつもりで、2杯分用意した。  コーヒーを淹れて、彼の分も一緒に持って行く。  壁にもたれる彼に寄り添って座る。 「あったかいのできたから」 「……」 「テレビのチャンネル替えていい? まあ、見たいのがあるわけじゃないんだけど」  スポーツ番組が始まっていたので、何か他のバラエティ番組がないかと思ってリモコンをいじって、いつかの再放送をしているチャンネルに替えた。  どちらかと言えば時折笑いの聞こえるバラエティ番組が好きだった。彼だってそうだった。 「今日はだいぶ暖かいね。……エアコンいらなくなってきたかも。夏、始まる前にまた掃除しなきゃ」  ぐったりする彼にそっと腕を回して抱きつく。
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