風邪引き

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「ううん。だからって無理をして死ぬ必要もないわ。……無理をしなくても、この体は動いていてくれる。……待とう」 「何を?」 「気持ち。楽になるまで」 「……」 「時間がかかっても、その時間は無駄じゃないから。ね?」 「遠いよ」 「え?」  顔を上げて聞き返す。  ううん、と首を振る彼。  そこを、テレビの笑い声が入ってきて押し流して行った。  頬がぴた、と合わせられた。  そのままテレビをぼんやり見て日が暮れるのを見送った。
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