0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「俺、寝てただけなんだけどなあ」
そうつぶやいたのは、この世界の神である。
光が一切差し込まない部屋には暗闇だけが、漂っている。
300年の眠りから覚め、起きてみたら、何も見えないのである。
そう、ほんとに何も。
感じるのは乾いた空気と冷たい床の石。
「ま、いいか」
そうつぶやくと、神はまた床に就いた。
「確か、健人があっちの世界から、もうすぐ来るはずだし、来たら見つけてくれるんだっけ?」
誰もいない石室に神の御言葉が響く。
だが、反響してきた自分の声を聴く前に、すでに神は眠りについてしまっていた。
次の瞬間、神が眠る石室の上に作られた神殿に、光とともに人間たちが降り立ったのは偶然ではなかろう。
最初のコメントを投稿しよう!