第一章 吸血王

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「あのー、勇者の方々…」 みんながびっくりして注意が巫女のほうに向いた。 ラッキー。 「勇者?!」 巫女は慣れたようにすらすら答える。 「はい、あなた方はザーク神に召喚されました勇者です」 何人か自分たちの置かれた状況に気付いて、青くなっている者もいる。 「召喚?!勇者?!」 全く理解してないやつもいるけどね。 「つまりここはファンタジーな世界。何か使命を果たさなきゃ帰れないってこと」 みんなの冷たい視線を浴びながらでも、頭の回転が遅いやつらに状況を教えなきゃいけない。 これはクラスメートとしてではなく、人間として当然のこと。 「そういうことでしょ」 俺は巫女殿に話を振る。 「はい、あなた方には七人の魔王を倒していただきます。そして、来たる魔神との戦いに備えていただきたいのです。そして無事魔神を…」 「「「「エエーーーーッッ」」」 神殿にみんなの叫び声が響いた。 そりゃ、普通の高校生ならびびる。 俺みたいなオタクじゃないと異世界の知識は豊富じゃないし、戦い方も知らない。 こういうときにゲームやっといてよかったって思うんだよな。 みんなが発狂してる中で、俺だけがただ一人冷静だった。
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