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日常
二月下旬――。粉雪が舞うこの街はいつもと何も変わらない。
通い慣れた道を、二人の幼馴染が他愛ない話をしながら歩いていた。
B「本当、毎日寒くて嫌になるよ」
A「例年通りって天気予報で言ってた」
B「気象も空気読んでくれよなー」
A「いつもの事よ。でも寒いからこのホットドッグがより美味しく感じるのも事実なのよね」
B「あんたも能天気過ぎ。明日世界が終わるっていうのにさ。何かしようと思わないわけ?」
ベージュのムートンブーツが足を止めた。
後ろを歩いていた本革のブーツの足を止めた。
A「普通に世界が終わるから普通に過ごすの」
B「未練とかないの?私達若くして死ぬわけだし」
A「そうねぇ……。明日、このホットドッグが食べられなくなるのが心残りかな?」
B「……ぷっ!何それ!」
A「だってそれが私の日常なんだもん。もうすぐ日常とお別れするから今日は日常を楽しむの」
B「……そうだな」
A「普通に寝て、普通に死ぬの。あぁ、幸せだなぁ」
再び歩き出した二人は、普通に終わっていく街の中を楽しそうに通り過ぎて行った。
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