0人が本棚に入れています
本棚に追加
冷たい風に思わず、震える。こんなに雪が降るなんて....。もし降る予定だったなら、もっと早くに降ってくれればよかったのに。
息を吹くと空気が白くなる。よくあることだけど、今日はまるで宝石を見ているかのように、貴重なものに見えた。
A「もう、お別れだね」そう独り言を呟き、パンをかじった。
このパンももう食べれなくなるのかと思うと、急に悲しくなった。
B「おーい!」
その声に、ドキッとする。
A(もしかして、バレたのかな。)
B「お前、明日引っ越すって本当か?!」
A(あー、バレちゃった。)
A「あーうん、そうだよ」私は泣かないように、無理やり笑顔を作った。
B「なんで、俺だけに言ってくれなかったんだよ!」
A(それは、別れるのが寂しかったからに決まってんじゃん...)
B「俺たち友達じゃん!」
A(私は.....恋人だと思ってたけど)
B「明日、何時に出発するんだよ?」
A(明日教えようと思ってたのに......)
私は思わず、バッグに入れておいた『明日渡すもの』を彼に押し付けた。
A「これ!」私はそれだけ言うと、呆然と立っている彼をおいて走って逃げた。
なんだか変な気分だった。悲しいはずなのに、心が暖かい。
A「別れてても、またいつか...会えるよね!」
最初のコメントを投稿しよう!