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「まず、犯行はやはり体育の始まる前だろう。君は誰もいなくなった教室の裏で、しかも川合奏くんの棚の上で、チョコの入った箱を中からカッターで切り開いたんだ。小さな穴開けも一緒にね。」
僕はそういって箱を持ってきて、みんなに切り口の角々に空いた小さな穴を見せた。
「そして、チョコを回収。避難訓練前に堂々と箱を持ち上げみんなに見せつけたんだ。」
ここで、ツトムくんが手を挙げた。
「でも、それだとそこがベロンんてなるって……。」
「そうさ、だからワイヤータイを使ったんだ。きっとワイヤータイを握り締めていたんだろうね。だから、穴を通すとき穴に付着したチョコを溶かしてワイヤータイがチョコまみれになったんだ。」
僕はゆっくりと彼を指さした。もうすっかり夕方になっていた。
日の光は彼をオレンジ色に染め上げ、彼の後ろに深い影を広げていた。
「犯人は君だ高杉くん!」
僕の言葉はオレンジ色に染まった教室に無音を広げた。
時の止まった教室をかき分けるように、彼は自分の席へと足を運んだ。
すると彼は、ゆっくりと自分のカバンからチョコの大量に入った袋を取り出した。
「ご名答……」
「なんで!?」とツトム君。
しかし、高杉くんは静かに笑い出した。そして……。
「ひろかさん、確か報酬はチョコだったよね。よかったね、これで渡せるね。作ってきたんでしょ?特別なの?」
そういうと彼はバックを肩にかけた。
「これが僕の動機だよ。」
彼は、風のように教室を出ていった。
ちょっと待って!この展開は推理できていなかった!
ひろかさんを見た、顔を赤らめ、うつむき気味なために少し上目遣いな、かわいい彼女がいた。
手には可愛い包み紙が……。
「透るくんの事、好きなの……、付き合って欲しいの……。」
つつツツ付き合ってって、僕らしょショしょう小学生でで……。
周りから突然の拍手。
おめでとーとかも聞こえてくる。
「ひひひろかさん、お付き合いというのは、てててをつないだり、きききすをしたり……」
だダメだ目が回る……。僕は鼻血をだして気絶した。
* * * * *
帰り、下駄箱に挑戦状と同じ紙が入っていた。
“僕もひろかさん好きなんだ、次は負けないから”
彼との戦いは続きそうだ……。
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