消えたバレンタインチョコ(事件編)

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 僕はこの杉戸小学校、三年二組、窓際一番後ろに座っているものだ。  何故かは知らないが、いつも僕のいるところに事件が起こる。  今日はバレンタインデー、例外はなく事件が起きた。  今朝、登校したばかりのホームルーム前の出来事から辿っていくとしよう。 * * * * *  クラスの女子、ひろかさんが重箱の入っていそうな大きめの保冷袋を、一番後ろのど真ん中で高らかに掲げた。 「クラスのみんなー!チョコが食べたいか?全員分作ってきたぞー!」  男子も女子も大喜び。「放課後、分けるからつまみ食いするなよ~!」と言うことで誰もが見える後ろの棚のど真ん中に堂々と置かれる事となった。  正直、甘党な僕は楽しみで仕方なかった。 * * * * *  一時間目、国語。  先生が「いたずら好きのキツネのゴンは、ある日、兵十が母のために……」と教科書を読みながら生徒の間を歩いていく。  そして、教室後ろのど真ん中にある大きな保冷袋に「おやっ?」と言う言葉とともに気が付いた。 「先生!お一つどうぞ!」  ひ、ひろかちゃん!なくなっちゃうよ!なんて僕が考えていると……。  クラスのムードメーカーのツトムくんが「チョコが減っちゃうよお!!」って立ち上がった。ナイスだ! 「大丈夫よ!百個作ったから」  アハハっと先生は笑い「では、遠慮なく一つ!」と丸いチョコを一つつまみ上げた。  あ、あれはトリフ!早く食べたい!
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