消えたバレンタインチョコ(事件編)

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 二時間目・算数、三時間目・社会、四時間目・理科・移動教室……誰かつまみ食いしてないか目を光らせるが、そんな奴は誰一人いなかった。  続いて給食の時間。  今日のメニューはアジの蒲焼きにレタスサラダ、お味噌汁、りんごゼリーだ!  淡々と過ぎていく時間……、いつもおかわりをする野郎共は今日は放課後のチョコを気にしてからか全く動く気配がなかった。  昼休みになった、五時間目が体育、しかも校庭でサッカーということもあり、男子はみんなして「ドッジボールしようぜ!」と校庭へ飛び出していく。  そんな中、教室の真中辺りに座る高杉くんの周りに女の子達が群がっているのがわかる。  彼はジャニーズ顔負けのイケメンで沢山の女子からチョコをもらっていた。  彼はムードメーカーのツトムくんに「遅れて行く」と話した。羨ましすぎだ!一個わけろ!  五時間目、高杉くんが少し遅れてきた位で平穏な時間が過ぎていった。  六時間目は避難訓練だった。  クラス委員長のイケメン高杉くんが「先生から渡された雑巾置きたいから、ひろかちゃんのチョコ脇に寄せるよ」と言ってひょいっと持ち上げた。  なんか……こいつ余裕だな……。イケメンめ……。  一応、目を光らせるが怪しい動きはない。  避難訓練はいつものように『地震です』と放送があり、机の下に隠れ、その後、縦列ごとに後のドアから上履きのまま校庭へ出ていくというもの。  後の席が先頭になるので僕が先頭で校庭へと出発した。  常に後のチョコに目を光らせていたが怪しい物は誰一人いなかった。 * * * * *  そして、放課後、事件が起きたんだ。  みんなでウキウキして、ひろかちゃんのチョコの箱を開けると……。  底面が一平と真ん中、大きくTの字にカッターのようなもので切り開かれ。  そこにはチョコはなく、代わりに一枚の紙が置かれていた。 『チョコは頂いた。オレはこのクラスの中にいる。探してみろよ!名探偵、南海 透 様』  南海透(なんかい とおる)……、僕の名前の入った挑戦状がチョコの代わりに入っていた。
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