消えたバレンタインチョコ(考察編)

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消えたバレンタインチョコ(考察編)

クラスみんなの視線が僕に集まっている。期待を込めて。 ツトムくんが身を乗り出すように僕に迫った。「頼む透くん!」 僕は依頼を受けるとき、いつも報酬を求めていた。 しかし、今回はチョコがかかっている。 大丈夫だ!今回は報酬なしで本気でやる!と宣言しようと立ち上がった時だった……。 誰かが肩をポンポンと叩いたので、振り向くと、ひろかさんがなにか言いたげにこちらを見ていた。 「チョコ多めにあげるから!」 なんですと!報酬なしで良いなんて黙っておこう! がぜんやる気が出てきた! とりあえず先ずやることは……。 「先ずは、みんなの話を聞いて状況を整理してみよう!」 僕は何か気付いた事はあったか?とみんなに目配りをした。 みんながう~んと考えるなか、ツトムくんが手を挙げた。 「簡単だろ!高杉くんでしょ!だって体育遅れて来し!しかも、避難訓練の前に箱もってたし!」 そう、それは一瞬思った。でも一瞬でそれはアリバイとなった。何故なら……。 「それは考えにくいよツトムくん。実は僕はその一連を穴が空くほど見ていたんだ。」 するとひろかさんが「そんなに楽しみだったの~」っとクスリと笑った。 少し恥ずかしい……。 て、今は顔を赤らめている場合ではない。 「底がこんなにも切られていれば持ち上げたときベロンとなって見ただけで解ると思うんだ。」 全員ウーンと考え込む。 そうなってくると犯行が行われたのはそれ以降ということになるのか……。 もう一度、後ろに置かれた箱を見渡した。 T字に大きく切り開かれた底面、犯人は何故ここまで大きく切ったのか……。 これに気をとらはれては行けない気がする……。 挑戦状までつけてきたんだ……手探りで箱を丁寧に調べる……、なにかあるはずだ……なんだこれ? ささいな事ではあるが、Tの字を描く内側のカドカドにそれぞれ小さな穴が一個ずつ空いている。 これは……何だ? と、僕が箱に夢中になっている間に後ろでは、色々な考察が飛び交っていた。
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