甘い香り

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 休みの日、待ち合わせの場所にて。 「後をつけられてないでしょうね?あの人、嗅覚は鋭いんだから」 「大丈夫。たまには大学の友達とゲーム大会したいんだ、オッサンじゃ相手になんねぇだろ!って飛び出してきてやったからな」 「何それ、ちょっとかわいそう。まぁ、ネコヤンはゲームなんてできないしょうね」 「前にハードから買って一緒にやろうとしたら。ゲームなんて人生で初めてだからってテンション上がって、コントローラーを握っただけで壊しやがったんだよ!」  店長、沈黙。事実。  マジで怒鳴って家を出てきたし、俺が本当に友達の家に遊びに行ってると思ってるはず。尾行は何度もこまめに確認したし、大丈夫。  今まで何をするにも一緒だった悠一に隠れて行動とか、すっげぇドキドキワクワクする。罪悪感、ゼロ。 「ところで。その服はヤバいだろ、サングラスも。昔の面影ありまくり、雰囲気まで怖いぜ?いつものてんちょ…………ね、姉さんよりも近寄りがたい感じ」 「そういうユキちゃんこそ。パーカーのフード被って、しかもキツネのお面なんてふざけてるの?」  店長が、車を運転しながらチラッと俺に目を向ける。実はちょっとふざけてる。でも俺からすれば店長の方こそ、ふざけてんじゃねぇかって思うんだけど。  念には念を。ということで、俺も店長も変装中。俺は新調したダボダボのパーカーのフードを目深にかぶって、顔には夏祭りの屋台なんかで売っている狐のお面をつけているんだ。
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