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2月14日はバレンタイン。好きな人にチョコを送る、告白の大イベント。
「これだ。これを逃す手はない……!」
俺、ユキ・シオンは白猫の姿で尻尾をユラユラ。現在バイトの休憩時間。休憩室の、バレンタイン特集をやっているテレビの前にチョコンと座って鼻息荒く息まいていた。
が、今の俺は白猫なのでさっきのセリフを綺麗にしゃべれるわけがなく。しゃべったのは、同じく俺の隣でテレビにかじりついている店長。
「ニャー?」
「あっ。い、いや、何でもないっ。別に、誰かにチョコを渡そうとか、そんなことは考えてないから。渡すならそう、義理よ、義理っ!」
「…………ニャー」
俺の声にハッ!と我に返って、目が合うとボンッ!と顔面大爆発。あー、はいはい。よかったね、好きな人ができたんだろ?本命だろ?
力なく鳴いてジトッと睨んでやったら。「うっ」て息を詰まらせて、小さく「やっぱり、手作りの方がいいわよね」なんて呟いて。
へぇ、本気なんだ?俺のバイト、猫カフェの店長は現在片思い中。相手はお見合いで知り合った年下の男。向こうは女たらし?好意ありまくりで鬱陶しいくらいだけど。
店長は男勝り、ツンツンクーデレだから相手にしていなくて。けど、しっかり気にはなっているのバレバレ。
連絡先を交換して、毎日電話かメールのやり取りはしているらしいけど。相手、女性に大人気の若手イケメン俳優だから。なかなか会えないんだってさ。
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