29人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
それに店長、細身で顔も不細工ではない、どちらかといえば綺麗な方なのに。過去がパラリラパラリラ。元、有名レディース様であらせられます。
猫カフェの店長――プラス元レディース様――とイケメン俳優――プラスチャラ女たらし――なんて、すごいコンビだよな?
店長はいつもその人の話をする時は「あんなやつ」とか「女の敵」とか「見た目だけのクズ男」だとか罵っているんだけどさ。そのたびに顔を赤くしているってことは、まんざらでもねぇってことだろ?
色々大変だとは思うけどさ、俺は応援してるからな。だってこんな男勝りな店長の相手をできる男なんて、そうそういないと思うし。って言ったら殺されるな。
あ、俺?俺は恋人にチョコを送るんだ。付き合い始めて初めてのバレンタイン。男同士だから結婚はできないけれど、おそろいの指輪を左手の薬指にはめてんだ。
だって俺、ただの白猫なんかじゃねぇもん。“擬人化種”っていう、突然変異の生き物。
生まれた時はただの動物だったのに、成長過程で人間に変身しちまう。慣れれば人間の言葉をしゃべれるようになるし、動物にも人間にも自由に変身できる。
擬人化種は本来の動物のまま野生で生きるか、人間の世界で人間として生きるかが選べる。俺は後者。だって、人間の世界は面白い。
人間の男性として大学にも通ってるし、休みの日にはこの猫カフェで、白猫の従業員としてバイトしている。成績は優秀、人気ナンバーワンの看板アイドル猫。
最初のコメントを投稿しよう!