オッサンの恋人自慢

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 さすがに、昨日のことは反省しているから今日はエッチはしない。その代わり、別の方法で楽しみたい。  目を閉じてキスを堪能していたシオンを膝の上から下ろして、戸棚の裏から取り出したのはゲーム機。スイッチを入れて、コントローラーをシオンに持たせる。 「一緒にやろう、シオン。シオンも知ってると思う、1人用のRPGだから交代で」  食後のデザートを食べ終わる前に引き下げられたみたいな顔をして、キョトン。チョコンとソファーに取り残されたシオンは俺を見つめて、ゲーム機を見つめて、また俺を見つめる水色の目。 「え?なに、これ?前に悠一が壊した、よな?何で、また買った?」 「練習もしたし、もう壊さないって。え、ヒビがある?気のせい気のせい。ほら、オッサンの行動限界は1時間なんだから、早くやろう」  次の休みにでも驚かせようと思っていたんだが、寝るまで時間があったから今日にした。なんだかシオンが、あれこれ手を使って時間を作ってくれたような気がしたし。  まずはシオンの技を見学。そのあとで俺の特訓の成果を見せてやろう、と張り切っていたら。やっとどういうことか理解したのか?  コントローラーを握ったまま俺を見つめるシオンの口がワナワナと震えて、頬はみるみるうちに赤く染まって。  そして、はにかむように笑いながら言ったんだ。 「なんで1人用のRPGなんだよ!」
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