秘密のタッグ結成

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 ほんと、チョロいよな。心の中でほくそ笑んで、表では「やったぁ!」って無邪気に喜んで。 「はぁ、もう。どうせネコヤンにあげるんでしょ?でもいいの?バレンタイン当日にはまだ日があるけど、もう買っちゃうの?」 「いや、やっぱ悠一には手作りしたいからさ。店に行くのは、どんなのを売ってんのか参考にするためだ」 「あぁ、なるほどね。シオン君、料理の腕は抜群にいいものね。あ、そうだ!なら、お店に一緒に行ってあげるから、代わりにチョコレート菓子の作り方を教えてよ」 「いいぜ?店長は家事はからっきし、特に料理はひっどいもんなぁ?」 「う、うるさいわねっ!料理はできなくても、お裁縫は得意なんだからっ」  交渉成立、だな。ギブアンドテイク。まぁ、料理が苦手な店長が本命相手に手作りを渡すなんて、相手を病院送りにさせたくないので手を貸そうとは思っていたけどさ。  店長が裁縫が得意だっていうのは初耳だな。店長が針を手にチクチクしている姿を、想像できねぇんだけど。  針じゃなくて釘バットを持って、戦利品の血みどろの服を持って高笑いしている姿なら容易に想像できるぜ?うわ、殺される。  この街に最近できた、チョコレート専門の店。これが超ポップで若者向けの店なんだ。とても、野郎だけで入ろうとは思えねぇくらい。  だから、一応はギリギリ若い女性の店長を誘ったってわけ。それに俺、まだ車の免許を持ってねぇから。
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