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ピピピピピ...... バンッ!!
騒々しく鳴る目覚ましを止め、布団からガバッと起き上がった。
カレンダーの日付を見ると、今日は2月14日。
待ちに待った、バレンタインデー!!
彼女と迎える、初めてのバレンタイン。
あぁ!学校に着くのが楽しみだ!!
キーンコーンカーンコーン...
〜放課後〜
...ん?あれ?おかしいな?
僕の手元のカバンは、学校に来た時と同じ重さ。
あれ?チョコは?...というか今日まだ彼女と話すらしてないんだが!?
肩を落とし、はぁ...と落胆のため息をつくと、急にガラガラガラッ!と教室のドアが空いた。
「ハルアキ!探したわよ!」
ドアを開けてズカズカ入って来たのは僕の彼女だった。手には四角い箱を持っている。もしかして...!!
「ハルアキ?聞いてんの?」
「...っあぁ、ごめん、どうしたの?」
「どうしたのって...今日はバレンタインでしょ?ほらこれ...」
「...これもしかして手作りか?貰ってもいいの?」
「当たり前でしょ!あんたに作ってきたんだから...」
「ありがとう!」
その場でラッピングを開け、口に放り込む。
きっと市販のチョコを溶かして固めたのだろう。
それでもこの特別な日にチョコが貰えたことが嬉しくて、僕は舞い上がっていた。
ガリッ!!!
「いって!!」
何かチョコではない硬いものを噛んだようで、口の中のチョコを取り出した。
「なんだこれ!!」
口の中から出てきたのは、なんとチョコレートにまみれた子供用の玩具。
「アハハハ!ひっかかったわね!あんた朝から顔にやけすぎよ!面白ーーい!」
玩具をチョコレートでコーティングするなんて、なんて手の込んだイタズラをするのか。
僕はまたもや肩を落としガッカリしていた。すると不意に彼女の影が近づいてきて、僕の影に重なった。
ちゅっ
「...な、な、なんで!!!」
僕が慌てふためくと、彼女はふふっと笑ってこう言った。
「こっちがホントのバレンタインのプレゼント。」
あぁ、してやられた...。
僕は真っ赤に染めた顔を隠す事しか出来なかった。
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