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第一章
冷たいご飯は嫌い。
暗くて静かな部屋も、埃のかかったキッチンも。
悲しい現実を私に突きつけてきているようにさえ感じる。
「お帰り」という言葉を聞かなくなってどれくらいの月日が経ったのだろう。
冷たいフローリングの床が私の体の芯まで冷たくする。
だから私は今日も深い眠りにつく。
誰にも起こされませんように。夢から覚めませんように。
そう願いながら、いつものように静かに眠りにつく。
輝きを失った瞳はゆっくりと瞼に覆われていった。
「如月はー、今日も休み…か。」
朝のホームルームでは如月の欠席が告げられる。
「じゃあ、ホームルームはこれで終わりだ。…あ、真壁は職員室に来てくれ。」
ホームルームが終わると俺は、職員室に向かった。
「おー、来たか。真壁。進路希望調査のことなんだが…お前なら、もっと偏差値の高い学校に入れると思うんだが…しかも真壁。お前は、学年常にトップで特進だろう?しかも
今回のテストもA判定で…」
「先生。いいんです。」
「何故だ…?…あ、もしかして、学費の心配とかしてないだろうな?心配ない。お前のことなら、特待でも取って学費免除してもらえるだろう。第一、医者になりたいなら、もっと上の学校を目指すべきだ。」
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