第一章

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「…別に。俺はこの学校でも、医者になれないということはないと思うし、俺は妹の看病もしなければいけないので、家からなるべく近いほうがいいんです。」 「真壁。妹って言ったって、親が離婚して、五年も一緒に暮らしていないとか…もう血もつながってないのと同然だろう。…まあ、妹側のお父さんが事故で死んでしまったのは可哀想だとは思うが…真壁も大変だな。あんな妹を持って。」 「先生。俺、あいつのことそんな風に思ったこと一度もありません。それに、俺はあいつを誇りに思ってるので。失礼します。」 「…」 ガラッ 「…!わ。びっくりした。さとわか。」 「えへへ、聞いちゃった。……妹の原因不明の病気を治してあげるために医者になろうだなんて。優しいよ。蒼は。」 「……別に。優しくなんて、ないよ。」 「ハイハイ。」 「……あのさ、さとわ。」 「なに?」 「俺、あかりに会いに行こうと思うんだけど。…どうかな。」 「いいと思う。というか、蒼から人にそういうこと聞くの、珍しくない?」 「…うん。だって家族だから。」 「そう。なーんか、私、妹に嫉妬しそう。」 「え、なんで。」 「なんでも、ない。」 「?そう。…じゃあ、俺行くから」     
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