1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここが…あかりと父さんが住んでいたアパート…」
俺は、母さんに渡された住所が書かれた紙切れをポケットにしまった。
表札には、「如月」と書かれている。
…俺の旧姓だ。
俺は、少しためらうも、緊張を押しのけて、インターホンを鳴らす。
「…あかり。いるんだろ。」
インターホンを鳴らして、二分ほど待つが、ドアは開かない。
「…あかり。今まで、独りぼっちにさせてごめん。…もう大丈夫だから。迎えに来たから。」
一向に、向こうの反応がないので、俺は、ドアを叩いた。
「あかり…!いるんだろ。」
俺は、ドアノブに手を当てた。
「…!あいてる。」
「あかり…!」
俺は、咄嗟にドアを勢い良く開け、部屋中を探す。
「あかり!あか…」
キッチンであかりが倒れていた。
「…!あかり!おい、しっかりしろ。……おい…!」
俺が、勢いよくあかりを揺さぶるが、ピクリともしない。
「また…目を覚まさないのか…?」
…………あかりは一度眠りに入ったら、最低二週間は眠り続ける。原因不明の病気なのだ。
「あかり…………大丈夫。迎えに来たから。もう、大丈夫だから…」
俺は、あかりを抱きかかえてベッドまで運んだ。
「…軽い。あまりにも軽すぎる。ちゃんと食事はとっているのだろうか…」
最初のコメントを投稿しよう!