第一章

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「ここが…あかりと父さんが住んでいたアパート…」 俺は、母さんに渡された住所が書かれた紙切れをポケットにしまった。 表札には、「如月」と書かれている。 …俺の旧姓だ。 俺は、少しためらうも、緊張を押しのけて、インターホンを鳴らす。 「…あかり。いるんだろ。」 インターホンを鳴らして、二分ほど待つが、ドアは開かない。 「…あかり。今まで、独りぼっちにさせてごめん。…もう大丈夫だから。迎えに来たから。」 一向に、向こうの反応がないので、俺は、ドアを叩いた。 「あかり…!いるんだろ。」 俺は、ドアノブに手を当てた。 「…!あいてる。」 「あかり…!」 俺は、咄嗟にドアを勢い良く開け、部屋中を探す。 「あかり!あか…」 キッチンであかりが倒れていた。 「…!あかり!おい、しっかりしろ。……おい…!」 俺が、勢いよくあかりを揺さぶるが、ピクリともしない。 「また…目を覚まさないのか…?」 …………あかりは一度眠りに入ったら、最低二週間は眠り続ける。原因不明の病気なのだ。 「あかり…………大丈夫。迎えに来たから。もう、大丈夫だから…」 俺は、あかりを抱きかかえてベッドまで運んだ。 「…軽い。あまりにも軽すぎる。ちゃんと食事はとっているのだろうか…」     
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