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お願い事の数だけ
B「おい、そんなに急いでどこに行くんだよ」
A「どこって、神社だよ」
B「神社?」
A「今年、まだ初詣行けてなかったから」
B「ふぅん。で、何で俺も一緒に行く必要があるわけ?」
A「何となく?」
B「何だよ、それ。で、お前はさっきから何をそんなに大事そうに持ってるんだよ」
A「これ? 去年一年かけて貯めた五円玉だよ」
B「まじで? それ全部五円玉? すげぇ量だな」
A「まぁね。五円玉貯金頑張ってたからね。少なくても百枚以上あると思うよ。これでたくさんお願い叶えてもらうんだ~」
B「まさか、五円玉の数=願い事の数なんて言わねぇよな?」
A「え? ダメなの?」
B「普通に考えて願い事多すぎだろ」
A「まあまあそうカッカしないで。ちゃんときみの分も用意してあるからさ」
そう言って楽しそうに目の前の彼女は袋の中に手を突っ込んで、俺の手のひらに三枚の五円玉を乗せる。
A「はい、これできみも無事に三つまでお願いごとできるよ」
B「いいよ、俺、五円くらいちゃんと持ってるし」
これじゃあ、まるで俺が五円さえ持ってないかのように聞こえて気に障る。
A「じゃあ、その分いっぱいお願いできるね。仲間だ仲間。いっぱいお願いしよ?」
B「しねーよ。お前と一緒にするな、図々しい」
誰か、この女を止めてください。
《完》
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