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A「だって、動機がなければ……私があの人を殺す理由なんか、何処にもないよね」
B「動機は、やはり君が身につけているその青いリボンだろう」
A「……」
B「C蔵さんの部屋にあったアルバムの中に、君のリボンと全く同じモノを身につけている女性の写真があった。その人はかつてC蔵さんのお屋敷で働いていた家政婦さんだったそうだね」
A「……これは、お母さんの形見なの」
B「お母さん?」
A「うん……10年前に病気で死んじゃった、私のお母さんの形見」
B「……じゃあやっぱり君はC蔵さんの」
A「許せなかった!! 私とお母さんを見捨てて……のうのうと暮らしている、あの男が!!」
B「……」
A「B助くんはこれからどうするの? 私のことを警察に突き出すの!?」
B「別に、どうもしないよ。僕はただ謎を解くことだけが生きがいのようなつまらない男さ……ただ」
B助はA子の下に歩みより、その頬を指先でそっと撫でた。
B「君のお母さんは、君がこんなことするのを、望んでいないと思う」
A「……」
B「どうするかは君が決めることだよ」
B助は布手袋をA子に手渡すと、彼女に背を向けて歩き始めた。
その後ろ姿を見たA子は押し殺すような声で嗚咽を漏らした。
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