僕は、地球を救えるのだろうか。

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「ねえ、ジョイ兄ちゃん」 「……ん?」 「なんで、世の中には、生きられる人と、生きられない人がいるの?」  うっすらと積もる雪の中、妹に不意打ちのように問われた。 「私たちは死ぬの? ねぇ?」  不安にならないわけがない。十年後には、この星を出なくてはならない。なのに、宇宙列車は、お金持ちしか乗せることができない。  全員の切符はないのだ。宇宙列車も毎日空きがない状態で、逃げることもままならない。だったらいっそのことと、思いつめる人間もいる中、兄妹だけで、明日から生きなくてはならないのだから。 「なんでぇ?」  涙が出ないわけがない。父も母も、今日からいないのだから。 「リィナ……」  妹を抱き留めながら、ジョイは心から嘆いていた。  葬式というものは、はじめて参列する兄妹だが、葬儀は誰のものだったのか。 (不幸というものは続くというけれど……、かわいそうにねぇ)  小声で噂をされる程、辛辣なことはない。 (電車の事故だって……)  それは目をそらすしかない現実だが、二人は悲しいと訴える顔しかできない。 (やっぱり、あの事故は……)  まるで悪人のような目で、葬儀の参列者たちは白い目を向けてきた。 「悪者でもないのに、なんで僕らが言われなくちゃならないんだよ!」  兄は怒りのごとく号泣し、妹も泣きじゃくる。原因は、宇宙列車の車掌だった父親が宇宙列車の大事故を起こしたことだった。そのため、母親も父親とともに逝ってしまったというのに。もう、取り返しがつかない状態だったと言える。  ジョイの人生は、そんな最悪の幼少期だったと言える。  遠くで、宇宙列車の汽笛が鳴る。恨めしく空を仰いでいたのは、その少年だったと言える。  葬儀が終わってからも、その噂は絶えないわけだ。もう老いていた祖父だけが、二人の兄妹を守るように、周りから隠し、抱き竦めていた。
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