後悔しないために、書くんですよ。

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 夏コンの時期は、一つ上の先輩がものすごくピリピリしてるよ。お弁当を食べる時はフルートの先輩と食べなさいな。きっといいお話が出来ると思うよ。  その年、夏コン当日に金賞を取って、全道大会の切符を手に入れるの。市民会館の中で歓声が沸き起こって、嬉しくて泣き止めなくて、先輩や後輩、めったに泣かないひさみーが珍しく泣いてて、そんな人達と抱きつきながら一緒に喜んで、その日は胸がザワついて眠れなかったんだよ。  全道大会は銀賞で終わったんだけどね。それが私の、地元で最初で最後の全道大会だったのですよ。  その時には既に、転校のお話が確定してます。  場所は最初は……あ、言ったらダメだな。でもまぁ別のところから、とあるところに転校するお話が決まっていました。  二年の後半になれば去年と同様、今度は一つ上の先輩が卒部します。  定期演奏会のアンコールで『気まぐれロマンティック』っていういきものがかりの曲で、ソロを任されます。  最高の演奏をしてきて欲しい。リードミスをしてもいいから、先輩に褒められるような最高の演奏をして欲しい。  定期演奏会でも卒業式でも、やっぱりあなたは泣いています。  ちゃんとしたびんせんで、ちゃんとした敬語を使って、ちゃんとした文章で手紙を書いて渡してあげて下さい。  どんなに拙い文章でも、きっとその先輩は笑顔でありがとうと言ってくれます。  そうそう、この頃からTwitterに手を出し始めるよ。  イラストやうごメモで描いた物を投稿して、いいねとリツイート貰っておいた方がいいよ。そのうちね、この子描いてください! っていう御依頼が来るから。  転校先の地域なんて、家族でドンキホーテで買い物してたじゃない。あなたの好きなハリボーは何処にでも売ってるんだよ。  その転校先の吹奏楽部で、二つ下の可愛い後輩が二人できます。  そのうちの一人は、二年経ってもまだ連絡をとっています。ほんとに可愛いから、愛でてあげて。
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