真心を込めて

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B(だがこいつは__ホットドッグだ)  B助はポケットから取り出した田楽の串を咥えた。甘辛い味噌の風味がB助の憔悴しきった心を少しだけ癒してくれた。 B(何を言ってるのか分からねえと思うが、俺自身よく分かっていない。アレは三日前の放課後の出来事だ__)  食べ終えた田楽の串を無造作にへし折ると、B助は近くにあった屑篭にそれを投げ捨てた。 B(俺はお気に入りの紺色のスカーフを振り回し、一人アイドルライブを実施していた。そこをたまたま通りかかったA子さんに目撃されて、複雑な面持ちをされているところを、たまたま通りかかったバッファローに轢かれて__気がついたら俺の体はA子さんの体と入れ替わっていた)  B助はゴーグルの下に隠し持った目薬を取り出してそれで目を潤わせた。 B(俺はすぐにスピリチュアルな出来事に巻き込まれた事を自覚して、地元で一番のコンテンポラリーダンサーにお願いをして祈りの舞いを踊ってもらった。その結果、俺の身体は元に戻ったが、A子さんの体はその時食べていたホットドックの物と入れ替わってしまった) B「リボンが少しほつれているよ?」 A「Yes, I hot.」 B(それからというものコイツは自己主張の激しいホットドックと化してしまった。まあそれも、なんとかなると思っていましたが正直もう限界です。何を話しても「Yes, I hot.」としか言わねえし、気がつくとダックスフンドと戯れようとする上に、目を離した隙にホットドック(A子さん)を食べようとする。あとそろそろホットドック的にも消費期限がヤバそうなので、タイムリミットが近い) B「なあ……いい加減にしてくれよ」 A「Yes, I hot.」 B「いい加減にA子さんの体を返してくれよ!! このままじゃA子さん……来週の火曜日に生ゴミとして処分されちゃうかもしれないんだぞ」 A「むごごごごご」 B「おいっ、やめろっ!! A子さん(ホットドック)を食べようとすんな!!!」  B助はホットドックをA子の口から遠ざけた。 B「なんなんだよお前……hot hotって……たまにはクールなこと言ってみろよ!!」 A「……」
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