真心を込めて

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A「……ふっ、お前はとんだお人好しだな」 B「いや普通に日本語喋れたのかよお前!!!!」 A「ほとんど会話をしたことのないこの女のために、なぜそこまで頑張れる?」 B「い、いや……責任の半分くらいは俺の方にもあるわけだし」 A「私は生まれついてのホットドックだが、お前のような人間を心の底から誇りに思うぞ」 B「あ、そすか……」 A「すまんがそろそろケチャップを全身に浴びる時間なんだ。1ダースくらい買ってきれくれ」 B「やめろよ……A子さんの体だぞそれ」 A「早くしないと体育の授業中にお前のポーチん中に大量のピクルスを詰め込んどくぞ!!」 B「やめてくださいよ、そんなはた迷惑な嫌がらせ!! 買ってくればいいんでしょ、買ってくれば……」  B助はため息混じりに、商店街を目指して歩き始めた。しかし途中で財布を持っていないことを思い出して道を引き返すと__、 A「もががががが」 B「ちょなに食ってんのオマエェェェェェ!!!!!!!」   B助はA子の頭をぶっ叩いて、地面に転がったホットドックを抱きかかえた。 B「A子さん!! A子さん!!……こんな、無残な姿になって」 A「待ってB助くん、違うの」 B「えっ!?」 顔をあげると、穏やかな表情をしたA子が立っていた。 A「私よ、A子よ」 B「マジで!?」 A「あの子が……ホットドックちゃんが私のために自らを犠牲にして助けてくれたんだよ」 B「いや、あの、原理が分からないんですけど……」 A「多分、ホットドック状態の私を食べた事で、こっちの体に精神が戻ったんだと思う」 B「あいつ……俺に黙ってそんなことを」 A「B助くん、生きるって素晴らしいことだと思う。美味しいものを食べることも、好きな趣味に走ることも出来るんだよ!! こんなに幸せなことって他には何にもないよ……!!」 B「いや、無理して良い話風にまとめなくて良いよ……でもまあ、これで一件落着って事で__」  その時、たまたま通りかかったバッファローが二人の体を跳ね飛ばした。 B「あべべべべべべべべべべ!!!!!!」  地面を三回転したB助は腕を抑えながら立ち上がると、すぐ側で微動だにしないA子の下に駆け寄った。 B「A子さん、大丈夫!?」 A「……Yes, I scarf」 B「……」  B助の受難はまだまだ続く。    完
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