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「あの、ここですか?」 札幌グランドホテルの前に来ていた。札幌でも有名で昔からある格式高いホテルだ。 「ああ。少し小腹がすいてるから、ちょっとだけラウンジで飲むか」 先に入り口へ向け歩き出す目黒の腕を慌てて翼は掴んだ。 「なんだよ」 「飲むかですって?そんな話じゃなくて。なんでここを予約したんですか?」 翼はホテルを指差した。 「なんだ。もう忘れたのかよ。シングルルームがいっぱいだったからだろ?だから、ツインルームを予約したって言ったよな?」 「聞きましたよ、聞きましたけど」 「あれ? ツインルームにご不満かな? もしかして、俺とより近くで寝たかった?ダブルルームのが良かった? いやあ、ごめん、ごめん。そりゃあ、気がつかなかったよ、完全に俺の選択ミスだな」 目黒は自分の後頭部に手をやり、ペチペチと叩く真似をした。 「ダ、ダブル? なんでダブル?ち、違いますよ、予算削減なのに高いホテルなんてまずいって話ですよ!」 「大丈夫だよ。ここは、俺個人で金払うから」 「そういうことじゃなくて!どうしてですか?どうして、そうまでして、こんな高いホテルに泊まりたいんですか」 信じられない。 こんな高いホテルに泊まろうとするなんて。 何考えてるんだろ。
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