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「大有りです。 真夜中に入ります」 翼の言葉に肩を一旦落としてしまった目黒だったが、やがて、急に笑顔を見せた。 「バッカ、バカ」 目黒は、翼の額をツンと人差し指でついた。 「嘘だよ、嘘っ。俺、お前の湯上がりを全然楽しみになんかしてないよ。部下の湯上がりなんて見る気にならない。なぜなら、これは出張だぞ? ったく、何考えてんだよ。そういうのは、阿佐ヶ谷姉妹のアダルトな写真集より興味なしだから…なっ気にせずに入れ」 阿佐ヶ谷姉妹のアダルトな写真集なんかあるんだろうか。 しかし、それより興味なしと言われるなんて多少、ショックだ。 とにかく目黒は、湯上がりを見たかったなんてのは、嘘で単なるジョークだったとでもいいたいらしい。 「嫌です。チーム長に湯上がりを見られるくらいなら、私、今日は入りませんから」 「汚い。汚いだろ、それは。営業ウーマンとして、それはマズイぞ。入れよ?風呂くらい」 「嫌です」 きっぱりと言い切る翼。 ため息みたいな息を長く吐いた目黒は、諦めたのか、納得したようにうんうんと肯いてみせる。 「……あーはいはい、わかりましたよ。だったら、それ飲んだら部屋に入って、ゆっくり風呂に入れ。それで寝るころになったら、部屋から俺に電話いれろよ」
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