第一章

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あたしの名前はレイカ。 小学2年生の国語の授業参観の時の話。 授業参観で国語をするってだけでテンション上がってたくさん手を挙げたがる目立ちたがり屋な性格。 自分のお母さんが来てるかみんな気になって授業どころではない。 だけどあたしは先生の話をまっすぐしっかり聞いて誰よりも早く手を挙げて得意げに答える。 「レイカちゃんのお母さん来た!」 斜め右後ろのクラスメイトがあたしを呼ぶ。 絶対振り向かない。 よそ見せず凛とした姿勢で授業を聞く。 「レイカちゃんのお母さん今日もすごいな!」 咄嗟に後ろを振り向く。 真っ赤な口紅と黄緑のワンピースの女が視界に入る。 そう、あたしの母親。 頭が良くないのを隠すように凛と立ち、他のお母さん達の中で一番目立つような格好で授業参観は必ず来る。 「レイカちゃん堂々と手挙げてすごいですね。」 「レイカちゃんみたいにウチの子もなってくれへんやろか。」 「レイカちゃんはお母さんに似てしっかりしてはるねぇ。」 授業参観で処方される言葉のサプリメントを求めて。 笑っちゃう。 だけどそのサプリメントが無いと子供すら育てていけない可哀想な女が本当に実在することを小学2年生ですでに知っていた。
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