罠師な彼氏と、刃な彼女

先輩、死んでもらいます。

　二月十四日、それは世間の男子は少なからず意識してしまう日ではないだろうか、そうこの佐々(さっさ)　一成(かずなり)もそれに漏れず、いつもより念入りに身だしなみを整えたので、いつでも対応可能な状態である。

　しかし、その日いつものように学園に向かおうと、玄関の扉を開けるとそこには、綺麗にラッピングされた箱をもった少女が彼の登場を待っていた。
　そして、姿を確認すると顔を俯かせながら俺にそっと箱を渡す。

　「あの…、　先輩に渡したいものがありまして。」

　「え…、　これって俺に？」

　こくりと頷いた彼女は、黒髪ショートヘアに椿のヘアピンをワンポイントでつけており、顔もボーイッシュな感じでとても魅力的な存在だった。
　そんな女性から、この寒空のなか待ってまで渡したいものとは、高まる鼓動を抑えながら受け取るが予想外に軽く、中身をみてもよいのかと確認をとると、是非と言われ優しく包装を剥がし、中身を確認すると、そこには一通の手紙が入っている。

　これは、もしかすると、告白の手紙なのではないかと思い、更に鼓動は脈打ち、手には汗がにじみ出て逸る気持ちを抑えながら手紙を開くと、そこには短い文章でこう綴(つづ)られている。