僕は悪と知りながらその道を行き続けるのだろう

2/2
前へ
/2ページ
次へ
僕らのいるフリックス孤児院は裏で暗殺業をしている。 そして僕は今、彼女とタッグを組んでいる。 初めこそ殺すことに恐怖した。でも、任務を失敗すると食事がでなかった。数日水だけの生活をしたけど、とてつもない餓えに耐えられなくなって初めて人を殺した。 そこからは吹っ切れたかのように殺人というモノに何も感じなくなった。 A「ねえ、公園でパン食べよ」 意識を彼女に戻すと、彼女の指差す先には煉瓦造りの街並みに囲まれた小さな公園があった。 B「いいよ、どこでも」 A「じゃあ、行こ! 出来立てのパンが冷めちゃう」 今日の彼女は久しぶりの休暇で浮かれている。 いつもは適当に縛っている髪も綺麗に高い位置で結って、大きな紫のリボンを付けていた。 そんな無邪気な彼女も勿論アサシンだ。 彼女は悪だと知らない。それは生きるために必要な事、当たり前のことだと思っている。 反対に僕はこの任務が世間的には悪だと知っている。だけどこれしかした事がない僕は多分ずっとこの仕事をしていくんだろう。 A「先に私が半分食べてもいい?」 B「どーぞ」 この先、彼女が知ったとしても変わらず笑ってくれたらいい。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加