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そうやって途方にくれながら学校に向かって歩いていると、前方に何やら見覚えのある姿が目に入ってきた。
あれ?でも、なんだか様子が・・・
10メートル先を歩いているのは、どうやらわたしの姿をしたフェイ、なのだろうけれども。
いつものわたしのテイストとは、大分違う気が。
ポニーテールに、おっきなベルベットのリボン。
それに、白のフワフワのマフラー。
服の着こなしも、全然違う。
本物のわたし、そんなアイドル然したアイテムなんて、1つも持ってませんでしたけど!?
早足で歩いて、一気にフェイの元へと近づいて行った。こんな時、男子の身体だと歩幅も少なく済んで楽なんだなと思いながら。
「お、おはよっ」
自分の姿に向かってぎごちなく挨拶すると、わたしの姿をしたフェイが、笑顔で振り返った。
・・・。
あり得ないサイズの、ホットドッグを手にして。
「おぅ、ジルっ!じゃなかった。おはよっ、フェイ」
目の前のフェイがインしているわたしは、前日までのオシャレとは無縁の野暮ったいわたしとは、頭の天辺からつま先まで全くの正反対の、オシャレ女子へと変化を遂げていた。
「な、なんでそんな格好になってるのっ!?」
わたしの驚く顔を見ながら、わたしの姿をしたフェイはニヤリと微笑みながら、ホットドッグを頬張った。
うわ。見事なまでに、わたしの口角に赤いケチャップが。
「いや、こっちの格好の方がジルに似合ってるかなって」
「何が?どこが?ホントに恥ずかしいから今すぐ止めてっ。特にそのポニーテールとリボン。それから口の横、ケチャップついてるし。ああぁ・・・それに歩きながらホットドッグとか、わたし絶対食べないからっ!!」
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