息子からの電話

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 駐車場に向かって歩き、一度ゲートを通り抜けるために再入場のスタンプを押してもらう。  先を歩く娘と女の子は何か楽しそうに話している。  私は父親と話すのも気が引け、黙って歩いていた。  と、そこに携帯電話の着信を知らせる振動を感じた。  画面を見ると息子だ。  私はスワイプして耳に当てる。  「もしもし、何?」  『あ、お母さん、行くのもう少し遅くなる。  サークルの先輩が昼メシおごってくれるって言うから』    息子の申し訳なさそうな声が聴こえ、私は思わず大声で「え~?」と聞き返した。  「ちょっと、お弁当どうすんのよ!  昨夜っていうか、今日までかかって作ったのに!」  『だからごめんって。  食べ終わったらすぐ行くから。  また連絡する』  息子は、後ろから誰かに話しかけられたらしく、早口で言うと切ってしまった。  「何?お兄ちゃん?」  振り返った娘が訊いてくる。  私はスマホをバッグにしまいながら頷いた。  「遅くなるって。  ったく、勝手なんだから…」  大学生なんてそんなものだと思いながらも、私は憤慨する。
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