息子からの電話

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 「まあ、お兄ちゃんもつきあいがあるんじゃないの」と娘は冷めている。  クールだなあ…イマドキの子か。  「息子さんがいらっしゃるんですか?」  父親が訊いてくる。  私は頷いた。  「この子の7つ上に息子がいるんです。  今日は大学に行って、その後、昼頃には合流できるってことで、一緒に食べるようにとお弁当を作ってきたんですが…」  痩せの大食いの息子のために、私は毎日大量の弁当を作る。  最近はわざわざ朝に用意するのが面倒で、前日の夕食のおかずを大量に作っておき、その中から弁当に使えそうなおかずをより分けておくようにしている。  今日は普段は学校給食の娘もいるし、張り切って作ってきたのに。  …息子にはそんなこと関係ないのか。はあ。  「はあ…大学生ですか…  いやしかし、大学生の男の子が、ご家族と一緒にディズニーシーに行くんですね。  時代だなあ…」  父親は首を振って感心しきりだ。  私や娘、お嬢ちゃんが父親を見ていると、父親は焦ったように眼鏡のブリッジを中指で押し上げて笑う。    「いや、私が大学生のころには、親や兄弟と一緒に出掛けるなんて、気恥ずかしくてとてもできなかったものですから」  ああ、まあ、それが一般的だよね。  私は微笑む。
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