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ピクニックエリアに着くと、父親はふう、と息をついてクーラーボックスを降ろした。
「すみません…重かったでしょう」
私は恐縮する。
父親は「いえいえ、日ごろの運動不足を実感しました」と笑う。
「こっちに座ろう!」と娘がいい具合に日陰になっている席を見つけて走り出す。
お嬢ちゃんも追いかけて走っていく。
ピクニックエリアはいつもだいたい空いている。
パーク内で飲み物だけ買ってお弁当を広げちゃう人もいるからね。
あまり周知徹底されてない感はある。
クーラーボックスを開け、中の弁当箱を次々と取り出す。
組み立て式のケーキスタンドやカトラリーセット、皿や茶器を揃える。
娘も手慣れた様子で、てきぱきとテーブルセッティングしていく。
出来上がったテーブルコーディネイトを見てお嬢ちゃんは歓声をあげてくれた。
「すごーい!こんなお弁当、みたことない!」
父親は開いた口が塞がらないと言った様子で黙って目を丸くしている。
「これ…何て言うんですか?弁当の範疇超えてますよね?」
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