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「今朝は6時前に家を出たから、お母さんあんまり寝てないんだね」
娘がビックリしたように言う。
「美鶴が早く出ようって言ったんでしょう…」
私ははしたないと思いながらも、欠伸をしてしまう。
「そんなに遅くまでお弁当作ってるなんて知らなかったんだもん」
娘は若干後ろめたそうに言った。
「6時前!」父親とお嬢ちゃん(真波ちゃんというらしい)は驚いたように言って、お互い声がハモったことに顔を見合わせて笑いだす。
「凄いですね!
昨日、お仕事をなさって帰ってからこれだけ品数豊富で凝ったお弁当を作られて、今朝6時前にはお宅を出られたと」
父親が感心したように言った。
「しかも、このお弁当、非常に美味しいですよ」父親が私の顔を見て言うと真波ちゃんも頷いて「うん!真波、初めてこんなにおいしいお弁当」と言って鱈を口に入れた。
「あ、ありがとうございます…」
日頃、こんな賛辞をもらうことがない私は、めちゃめちゃ照れてしまった。
「真波、苦手なお野菜たくさん食べられてるな、お魚も苦手なのに食べたのか」
父親は真波ちゃんの食を見て、驚いているようだ。
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