291人が本棚に入れています
本棚に追加
/359ページ
そして日常が戻ってくる。
日々の雑務に追われながら、毎日が飛ぶように過ぎ去っていく。
以前と違うのは、夫が私とよく話し合いを持ってくれるようになったこと。
娘の小学校の卒業式や中学校の入学式にも休みを取って一緒に行ってくれた。
娘は恥ずかしがって嫌がっていたけれど、私と夫に挟まれて写真に収まり、結構嬉しそうに笑っていた。
家事も私にいちいち訊きながらよくやってくれて、私は人の手を借りると生活がこんなに楽になるのかと驚いてしまった。
今まで一人でやらなければと重圧に感じていた事柄から解放されたのが、一番大きいのかもしれないとも思う。
一緒に考え、行動してくれる人がいる。
それはなんて素晴らしいことなのだろう。
夫は夫なりに懸命に私や家族と向き合い、変わろうとしてくれている。
私も過去のことは過去のこととして自分の中で処理して、変わらなくてはと思う。
夫が私を「お母さん」ではなく「深雪」と名前で呼ぶようになったので私もなるべく名前で呼ぶようにしていたら、子供たちに引かれてしまった。
だけど夫はお母さんに戻そうとはしなかった。
私も戻そうとは思わない。
最初のコメントを投稿しよう!