295人が本棚に入れています
本棚に追加
夫も「そろそろ洗濯物を入れるか」と呟きながら部屋を出ていく。
私はコーヒーを持ってソファに座り、スマホで『みずすまし』を検索してみる。
『成虫の体の上面は光沢のある黒色で、楕円形で腹背に扁平な体型である。触角は短く、6本の脚も全て体の下に隠せる。前脚は細長いが、中脚と後脚はごく短い。複眼は他の昆虫と同様2つだが、水中・水上とも見えるように、それぞれ背側・腹側に仕切られている。
成虫は淡水の水面を旋回しながらすばやく泳ぐ。同様に水面で生活する昆虫にアメンボがいるが、アメンボは6本の脚の先で立ち上がるように浮くのに対し、ミズスマシは水面に腹ばいに浮く。また、アメンボは幼虫も水面で生活するが、ミズスマシの幼虫は水中で生活する。
【Wikipediaより抜粋引用】』
私はふと、松永さんと付き合っていたころの自分のようだと思った。
水中と水上に目を持ち、器用にうまく泳ぎ切れると思っていた。
だけど…私には無理だった。
見事に沈んでしまった。
夫が、子供たちが、この情けない私を水中から引き上げてくれた。
そして陽の当たる水面から水上まで上げてくれようとしている。
松永さんを忘れるにはまだもう少し時間がかかると思っている。
だけどいつか…
お互いに今が一番幸せだと、笑いながら言いあえる日が来るといいと思う。
そのために、私は一生懸命、日々を過ごして行こう。
夫に寄り添い、子供たちと一緒に、頑張って生きていこう。
それがこんな私に心を寄せてくれた、小西くんや中山先生の想いに報いることになると信じている。
よくある昼メロみたいな、私の物語。
ここからまた始まるソープ・オペラ。
最初のコメントを投稿しよう!