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「うん、この荷物も車に置いてきたかったし。
ジェラトーニに新しい服着せたいんだ~」
娘も女の子に笑いかけながら言う。
女の子ははにかんで、父親の後ろに隠れる。
「ジェラトーニ…あたしも欲しいの。
お父さんに言っても買ってくれなくて」
父親の後ろから、少し拗ねたように娘に語りかけた。
小学3年生くらいかな?4年生かな?
小柄で可愛い女の子。
ミッキーマウスが大きく描かれたトレーナーが似合ってる。
父親は「5年生にもなって、ぬいぐるみが欲しいものかと…でも、ここでは大人でも持っているんですね」と苦笑しながら頭をかく。
え…5年生?
私はそろそろ私の背を追い越しそうな娘を見遣る。
娘も少し驚いたように私を見た。
見た目、幼いね…
娘の表情はそう言っているように見える。
「じゃあ、クリーニング代はお嬢さんにジェラトーニを買ってあげてください。
お気になさらず…お嬢さんもわざとではなかったんだし。
では、失礼しますね」
私は軽く会釈して娘を促し、駐車場へ向かって歩き出そうとする。
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