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「七時半だ。あと一時間で風呂入って、着替えて家帰るぞ。送るから」
なんか……、ムカツク。
だってさ、やることだけやったら早く帰れって感じ。そういうもんなの?
せーまは俺とは違って活き活きした動きでベッドをおりて、部屋を出て行った。かと思えば脱衣所で脱ぎ散らかした服一式を抱えて戻って来た。
「……やだ。痛くて歩けないもん」
「え」と、戸惑うせーまを視界の端に入れつつ、俺は毛布ごと膝を抱えた。
「今日、ここ泊まる。せーまのせいで動けないもん」
「あ」「う」「いや」と狼狽えまくるせーまに、俺はますます怒れた。だって、迷惑そう。
エッチさえ出来たらもういいんだ? 信じられない!
腹立たしいのに、せーまが残した熱がまだ体内に燻っている。それが自分だけなんだと思うと悲しくて、虚しくて、目頭がじんじんした。
「そ、そんなに……痛いのか? ごめん、灯。本当に悪かった」
俺が目を擦るや、せーまがすっ飛んで来た。ベッドを軋ませるとすぐに俺の背中を擦りだした。
信じられないくらい恥ずかしい格好をしたし、声も出た。あんな自分知らない。せーまの記憶から消したいよ。
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