エピローグ

4/7
380人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
「七時半だ。あと一時間で風呂入って、着替えて家帰るぞ。送るから」  なんか……、ムカツク。  だってさ、やることだけやったら早く帰れって感じ。そういうもんなの?  せーまは俺とは違って活き活きした動きでベッドをおりて、部屋を出て行った。かと思えば脱衣所で脱ぎ散らかした服一式を抱えて戻って来た。 「……やだ。痛くて歩けないもん」 「え」と、戸惑うせーまを視界の端に入れつつ、俺は毛布ごと膝を抱えた。 「今日、ここ泊まる。せーまのせいで動けないもん」   「あ」「う」「いや」と狼狽えまくるせーまに、俺はますます怒れた。だって、迷惑そう。   エッチさえ出来たらもういいんだ? 信じられない!  腹立たしいのに、せーまが残した熱がまだ体内に燻っている。それが自分だけなんだと思うと悲しくて、虚しくて、目頭がじんじんした。 「そ、そんなに……痛いのか? ごめん、灯。本当に悪かった」  俺が目を擦るや、せーまがすっ飛んで来た。ベッドを軋ませるとすぐに俺の背中を擦りだした。  信じられないくらい恥ずかしい格好をしたし、声も出た。あんな自分知らない。せーまの記憶から消したいよ。     
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!