せーまの灯り

１５

　それでも、きちんと確かめないといけない。
　灯の背中にそっと手を添わせ、擦りながら訊ねた。

「灯の気持ちを聞かせて」

　直後、勢いよく顔を上げた灯はまず、俺の手を振り払った。涙をぼろぼろと零しながらもまっすぐ、こちらを睨みつける。

「こっちの台詞だ馬鹿！　せーまが俺と別れたいんだろ！？」
「……は？」

　なぜそうなる。
　思いがけない反撃に目をぱちくりさせていると、更なる追撃を浴びた。

「人の気も知らないで！　どうしてあんなこと、みんなの目があるのに言うんだよっ。必死に隠していかないと、一緒に……いられないのに！　いられなくてもいーの？　せーまは平気なんだ？」

　ひっく、と喉の奥が痙攣して言葉が途切れた。灯の涙を拭こうにも、「触るな」と鋭く返される。

「お母さんに……知られたらどうすんの。どこからどうバレるか分からないのに……どうするの」

　ばか、ばか、と涙の数だけ呟く。
　灯の言葉に、涙に、その想いに心を奪われていた俺は、「帰ってくれ」と懇願するように言われて初めて、目が覚めた。