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 今朝も教室内では大騒ぎになったし、担任にも職員室へ呼ばれた。そこでは本当のことは言えなかったが、白井にはいいだろうか。 「喧嘩した」 「誰とだよ?」  白井は焼きそばを食べることに集中してます、というのを装いつつ俺の声に耳を傾ける。  良い奴だな、と思う。  空は冬が近いのに夏のように瑞々しく、綿あめを散らしたかのようにふわふわした雲が細く、長く伸びていた。 「親と」  予想外だったらしく、さすがの白井も絶句する。それでもややして、喉を「あー」「まー」「うーん」と鳴らしてから。 「俺もさ、親父とはしょっちゅう喧嘩するけどな? お前がそんなやんちゃだったとは意外だぜ。で? 何やらかした?」  白井の声を耳に入れながら、向かいの校舎を眺めた。小さな窓から見えるのは様々な場面。大声を上げて誰かを追いかける女子。恥ずかしそうに向かい合って談笑する男女。肩を抱き合う友達。その中を、黄金色の風が駆け抜けていた。いや、風ではなく人。三階から二階へ下りて、端から端まで誰かを探すように走り続けている。なぜ黄金色かと言うと、腰まで届くほど見事な髪が、その色だから。しかも着ている服がただ事ではない。見間違えでなければ、それは腰のくびれを強調した異国風ドレス。 「……違う。喧嘩したのは母と」     
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