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 灯のせわしない目が、父と俺の顔を交互に見比べて動く。そのうちなぜか、頬が赤く色づいた。 「ええと、君が静馬とお付き合いしてくれている灯くん?」  灯の様子に戸惑った父は、「可愛い子だね」と俺に同意を求める。その時、奥から蒼さんが様子を見にやってきた。が、おかしい。居住まいを正した父が改めてお辞儀をすると、蒼さんはなぜか大急ぎでエプロンを脱ぎ、髪の乱れを気にしつつ駆け寄ってきた。 「あ、あの、長女の蒼と申します」  どういうわけか、蒼さんはこれまで見たどの時よりもお淑やかだった。父は美人の登場にどぎまぎしつつも腰を折り、「お口に合うと良いのですが」と言ってケーキを差し出す。「まぁまぁご丁寧にどうも」と蒼さんが胸に抱くようにしてお礼を告げる。ケーキ、傾いてるよ? 「ちょっとお腹空いてるからさっさと……」  自室から出て来たらしい春さんが、欠伸混じりに登場した。かと思えば不自然に口を閉ざし、誰かさんみたいに髪の乱れを気にながらそそと来る。で、やや高めの声で「次女の春です」と名乗った。この時、双子の視線が苛烈にぶつかった、ような気がする。  どうぞどうぞと競うようにして父は双子に連れて行かれる。その後ろを、パパラッチみたいに激写する陸さんの姿があった。     
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