せーまの灯り

１８

　灯と秘密の約束を交わしたような、交わしてないような日から、頭の中はソレで一杯になった。しかし、そんなエロいことばかり考えていても、即実行に移すってことはない。むしろ、これまでに無いほど真面目な学校生活を送っている。放課後は灯を自宅まできちんと届け、七時までには帰る。夕食の支度があるからだ。カレーとか、焼きそばとか、冷凍餃子とか、野菜炒めとか……そんなの。でもそれを、涙ぐんで味わう人がいる。
　ちなみに学校では、家政科のファッションイベントに登場した美女は誰だ？　という話題でしばらく持ちきりだった。一月以上経った今では、美女探しは沈静化している。家政科の女子は、しっかり約束を守ってくれたようだ。白井は口が軽そうな顔して義理堅いし。
　あと、灯とは変に距離をとらず、学校でも普通に接している。というより、逆になった。自ら進んで灯を教室まで呼びに行ったり、わざと肩を抱いてやる。度胸をもって俺に真相を訊ねにくる女子には、堂々と「俺、コイツが好きなんだわ」と認めた。灯には非難されたが、結果としてはいい方向へ進んでいる。
　灯を必死に口説き落としたのは俺で、もはや女では満足できないのが俺。